「その人の生み出す製品や作品そのものが大好きで
購入して手元に置き、使い続けたい」ということでなくても
「その人の動向そのものが気になり、チェックし続けている」
というデザイナー。 きっと私だけではなく、どなたも
そんな方をお持ちなのではないでしょうか。
先日、そんな方のお一人のお話を聴く機会があり、久しぶりに
沁みる言葉、書き留めておきたい言葉や発想に出会いました。
「デザインされたものが、どのような消費者に向けて
商品として提供されるか、というところにだけ神経を使う
のではなく、作り手、つまり、その商品を支える側で
労働する人たちの喜びや生活を、自分がデザインすることに
よって決定づけてしまう、ということを、常に考えている」
そのような目で様々なデザイン活動や商品をジーッと観ると、
今まで見えていなかったことが見えてきます。
「理想はそうかもしれないけれど、追い詰められて
どんどん安い価格のほうへ引っ張り込まれてしまう」と嘆く
デザイナーも消費者も減らないでしょうから、理想は理想で、
現実はもっともっとせちがらいのは間違いないのでしょう。
が、名が売れても何らかの「踏みとどまり」をしている人が
未だいるんだなあ、と確認できて、何やら安心できた、というか。
また、発想の範囲が広い、あるいは、意識が働く方向が、
ありきたりで一方的なものに終わらないところも、
他の仕事をしている(私を含む)大勢の人にもヒントになるな、と。
「久しぶりに沁みた」というのは、ここのところを深く考えさせて
くれるものに、私が最近なかなか出会えていなかったことの裏返しです。
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