「季節の行事を、私は大切にしているの。
そのひとつひとつが、一年間を上手に過ごしてゆく節目になるし、
楽しく暮らしてゆく推進力にもなっていると思う。
古くからの決まりや伝統というものを考えるきっかけでもあるから。
ま、子どもたちは退屈だって言いますけどね」と、Dさん。
3月末~4月初旬ならば、イースターに因んだ飾りつけが必ず登場。
「これは、私の両親たちが、
ひとつひとつ手作りしたオーナメントなのよ。
よくできていると思わない?」
↑↑↑ 写真ではわかりづらいのですが、ちっちゃな魔女のスカートは、
チョコレートトリュフの敷物に使う、あの縁がぎざぎざの薄紙なんです!
ストックホルム郊外で、夫婦二人の年金生活。
子ども3人は、ドイツ、アメリカ、スウェーデンで、
それぞれ独立して家庭を築き、世界を股にかけてばりばり働いています。
いつおよばれしても、室内はインテリア誌のグラビアのように美しく、
しかもとても居心地良いしつらえです。グリーンや花もたくさん育てています。
Dさん夫妻の家は、お二人が若い時分に、岩のごつごつ飛び出した敷地を
少しずつ整えるところから始めて、出来る限り手作りで建てたもの。
半地下に駐車スペースがあり、そこから直接地下一階へも入れます。
春の気取らないディナーを、少し言葉でスケッチしてみましょう。
エメラルド・グリーンの無地の麻のテーブルクロスに、お揃いのナプキン。
鮮やかなグリーンの艶のあるディナー皿。
赤色系のチューリップが、20本ほど短く切り揃えて食卓に生けてあります。
ときどき料理を運ぶ大き目のお盆は、白地に赤いチューリップの柄の
プラスティック製でした。
メインは豚肉のオーブン・グリル。
既に、食べやすい厚さと大きさに切り分けて、
美しいブルー・ホワイトの四角い器に並べてあります。
これに、サワークリームやきゅうりの刻んだものなどを合わせた
白いソースをたっぷり添えて、いただきます。
付け合せは、ズッキーニ、ジャガイモ、人参、玉ねぎ、ナス、トマトなど、
たくさんの種類の野菜をオーブンでグリルしたもの。
おそらく、上等のオリーヴオイルと塩だけの味付け。
ラタトイユよりも、ずっとあっさりしています。
飲み物は、ワインとスパークリング・ウォーターにレモンをたくさん浮かべたもの。
パンやバター、肉も野菜も、すべて好みの量を自分で皿にとる形式です。
食後には、ソファーに移って、手作りのスポンジケーキと紅茶をゆったりと。
奥さんがゲストとのおしゃべりに夢中になっている間に、
だんなさんの方が、台所でディナー皿やワイングラスを
丁寧に洗って拭いて片付けているのを、私は見逃しませんでした!
静かに静かに、春の夜が更けてゆきました。
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