「まあ・・・随分小さい頃からあなたを知っているけれど、
やっといいお顔になってきたわね。
顔に陰影が出て、つるんと(しわもしみも)何もなかった
若い頃の顔とは、段違いだと思うわ」
こういうことを面と向かって言われた時のことは
決して忘れることができません。
この人は、日本の方ですが、一生のうちの半分以上を
海外で暮らしておられる絵描きさんです。
「年をとった今の顔のほうが素敵である」というほめ方を
一般の日本の人たちはしませんね。ほとんど。
若く見えることだけに価値を見出す人も
未だに多いのですから。
先日、10年近くお会いできなかったアメリカの方に
久しぶりでお会いしました。
「ハンサムな顔になってきたじゃない?」と。
ふーん。ハンサムっていう言葉、女性にも使うことは
わかっていたのだけれど・・・
私の耳と心には、ちょっと新鮮に響きます。
外来語として定着している「ハンサム」は、
もっと狭義でしかありませんから。
何をどうほめるか、という文化の違いもあるのでしょうが、
その違いを切り捨てたり無視したりさげすんだりせずに
うまくほめる。これは慣れないと、なかなか難しいことです。
私はどちらかといえば「観察をする類の人」で、
言葉を発するのは二の次、三の次になりがち。
そうなると、ほめるべき絶好のタイミングを逸してしまいます。
誰かをうれしい気持ちにすることができる人が、
もっとこの国に、そしてこの世に満ちますように。
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