茂木健一郎さんと5人のアーティストたちとの対談集。
町田康、金森穣、山下洋輔、立川志の輔、荒川修作。
テレビ番組(『ニューロンの回廊』・BS日テレ・2006年)を
書きおこしたものだそうですが、
この本には顔写真がいっさい入っていないので、
「行間に漂う意味まで、集中して拾おう」という読み手の意欲は
逆にかきたてられるかもしれません。
最初はね、金森さん(ダンサー、振付家、ディレクター)が
何をしゃべっているか、に興味があって手にしたのですが
結局まんべんなく堪能させてもらいました。
特に、日頃、職業上、言葉で表現していない人たちが、
「言葉で表現することと、今自分が用いている表現方法との係わり」を
一生懸命口頭で説明しようとするくだりなんかが
とても興味深かったのです。
共通しているのは、
彼らが皆「外から自分を観察する感覚に優れている」ということ。
それは意外な発見でもなんでもなく、納得ゆくことなのでした。
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)と比較すると、
茂木さんのご専門の脳の話や解説が、
より多くブレンドされていたでしょうか。
ところで!
芸術の神様は、降りてこられるだけなのでしょうかね。
こちらから、ある瞬間に、上って行って、
神様と戯れているアーティストもおられるのでは・・・
あるいは、どちらかが降りたり上ったりせずに、
いつもそばに、ともにあることができるものであるのかも・・・
※さらに!
昨日発表された、2007年度芸術選奨 文部科学大臣賞に、
上記5人の中から、2人も・・・
志の輔さんと穣さんが選ばれていました。
ふーん。「只今注目株よ」っていうものさしも
あちこちで似通っている、ということでしょうかね。
※『芸術の神様が降りてくる瞬間』
茂木健一郎・著(対談)
光文社
2007年10月第一刷 1,500円+税
ISBN:9784334975265