ワガノワ・メソッドは、史上最も多くのスター・バレリーナ、ダンサーを
育ててきたカリキュラムかもしれません。
学校は、創立270年になります。
このメソッドを編み出したアグリッピナ・ワガノワ
(Agrippina Yakovlevna Vaganova)の教則本は、
私も何度読んでもわからないところもあるのですが、
単純な中に筋金が通っている素晴らしいものです。
ただし、王政時代、共産主義時代の厳しいトレーニングや
名誉・成功を勝ち得たいという個々の強い動機付けが
現在はトーン・ダウンしていますし、昔とは国情・国境ともに異なりますので、
これから先は、伝説のダンサー級は、そう簡単には出ないだろうな、
というのが私の予想です。
このワガノワ・メソッドは、力強い筋肉や、
安定感のある動きの可能な身体を育成します。
これを元に育てられると、ダンサーとして現役で踊れる期間も
比較的長いことが多いのです。
一方で、腱の性質や形状、関節の可動性など、
持って生まれた身体条件によっては、
見栄えがするとは言えない、むっちりした身体つきの大人に
育ってしまう例(つまり危険)も、私はあると思っています。
ロシアの伝統的な学校が、注意深く生徒を選別し、育てるぶんには
何の問題もなくても、そのノウハウを外に持ち出すことの難しさもあります。
(また、途中で「育成に失敗して」切り捨てられる生徒たちの問題もあります。)
そのワガノワ・バレエ・アカデミーの生徒たちが、現在日本国内で公演中です。
現地はもう学年末を締めくくり、夏のお休みに入っているのですよね。
公演と修学旅行がくっついたような企画。
プロの卵たちの公演に、どのようなチケット代金を設定するのか
・・・これはなかなか難しい問題でしょう。
「踊りたい生徒たち」(だけ)がわんさか存在する日本のバレエ界には
ある意味で「最も観ておきたい公演」なのかもしれませんし、
そうなると‘強気のお値段’をつけられても、まったく問題ないのかも。
一方では、あくまで‘卵たち’の公演なのですから、
あまりにも押し出しが強いと、気分的に退いてしまう人たちも
少なくないのではないかと思います。
私の憧れのダンサーの一人であった、アルティナイ・アスィルムラートワ
(Altynai Asylmratova)が、なんとこのアカデミーの芸術監督として、
生徒たちを率いているとのこと。
本当はね、彼女がカーテンコールに登場すればなあ、と
ひそかに期待していたんですが・・・(少なくとも私が観た日は)駄目でした。
まだまだ踊って欲しい人なのですが。
※日本公演と、これに付随したワークショップなどが、来月まで続いています。
詳細はこちらから ⇒⇒⇒ http://www.ints.co.jp/vaganova/index.htm
※アルティナイ・アスィルムラートワの写真・動画はこちら↓↓↓から
http://www.ballerinagallery.com/asylmura.htm