海外へ出ると、ときどき(私のような者でも)出会う「身分の高い」人たち。
映画や小説の中でしか知り得ない生活が、
現実のものとしてそこにあります。
先日、ある身分の高い人のお住まいの一部を拝見することになりました。
(ただし、当人にお会いしたわけではありませんので、念のため。)
行事や社交に追われながらも、
出来る限りくつろいだ「自分たちの普段の暮らし」を守り、
身の回りの世話をするスタッフたちとも
気さくに丁寧に接しておられるご様子がうかがえたのでした。
そのスタッフの一人に向かって、同行の方から次のようなコメントが。
「こんな立派なお住まいで、うらやましい限りです。
日本の我々の住宅事情を考えると、夢のようで」
すると、すかさずこのような返事が戻ってきました。
「大きくて立派なお屋敷だから、居心地が良いとは限りません。
大切なのは、その人その人の住まい方なのではありませんか。
私だって、ここで仕事して、狭い普通の家に帰るのですよ」
その人は、にっこり笑って諭すようにそうおっしゃっただけでした。
でも、コメントの続きがその顔に書いてあるような気がしました。
「立派な屋敷に住んでいることで見落とされがちですが
ここのご一家が、愛情に満ち、地に足がついている生活を営み
尊敬を集めておられることこそ、私どもの誇り、お仕えする喜びなのです」と。
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