水色の絽の着物をコート風の長いジャケットに
仕立て直したものを羽織った初老の女性。
午後の昼下がり。 雨がしとしと落ちていました。
淡いベージュの地に、はっきりした薔薇の大きな花が
たくさんたくさん咲いている華やかな傘をさしています。
どうも、普通の女性用の傘よりも大きいもののようでした。
「あぁ。 薔薇色ってのは、こういう色のことを言うのか」と
あらためて知りました。
傘と似たベージュの柔らかそうな皮のポシェットを
肩から斜めにさげています。
私の足は自然に止まり、じーっとその人を目で追いました。
静かに静かに歩き去り、最後まで後ろ姿だけしか見えませんでした。
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