フィギュアスケート全日本選手権。
今年は、オリンピック代表選手の選考も兼ねているため、
なおさら観るのを楽しみにしていました。
摂食障害からの復活を果たした鈴木明子さんのことは、
ダンサーの中にもこの病気を抱えている人が多く、
その治療や指導の難しさを少し勉強したことが以前にあることなどから、
特に注目・応援していました。
音を捕らえて自分の中に取り込み、それを消化してどう魅力的に見せるのか、
ということ、つまり、「音楽を踊る」ということを、上位の日本人女子の中で
最も巧みに見せることができる選手の一人です。
教えられて「努力して」そう見せようとしている選手とは異なる次元。
また、選曲や振付・構成も、本人の持ち味にうまくフィットしていました。
蛇足になりますが・・・彼女のフリー『ウエストサイド・ストーリー』は
「マリア(だけ)を演じている」のではないでしょうよ。
最も激しいストレート・ラインのステップと、あのマンボの曲は
アニタという別の登場人物(女性)の持ち曲ですから。
清冽な光・マリアと情熱の花・アニタと、そして『ウエストサイド・ストーリー』の
作品全体の香りとを、細切れにして散りばめたプログラムである、
ということなのではないかと思います。
他の上位選手のプログラムの中には、ショートにもフリーにも
昨シーズンからまったく同じポーズ、まったく同じ技と振付が
盛り込まれているものもありました。
(おそらく、それが得意技なのでしょう。)
しかも、別の曲で別の雰囲気の作品にも、同じ振付が使われています。
それが何の指摘もなく許されているという事実によって、
やはりフィギュアスケートはアートではなく、スポーツ、
しかも競技なのだな、と、妙な納得もしてしまったのでした。
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