〔今日の記事は長いです。 映画とダンスに興味無い方は、
スキップあるいは斜め読みしてください!〕
モーリス・ベジャール(2007年11月22日没。振付家)亡き後、
残されたものたちが、何をどうやってその才能を継いでゆくのか、という映画。
「ベジャール、誰?」という方は、とりあえず、映画 『愛と哀しみのボレロ』
(1981年、仏)をご覧ください。
(c)1981 FILMS 13-TF1 FILMS PRODUCTION
この映画の核になっている踊りを創った人です。
「踊りで哲学しようとした人」ですね。
端的に言って、一般にカリスマ振付家が亡くなった後は、冷たいようですが
直後の意気込みや集団としての盛り上がりが徐々に消失し
次第に魅力が薄れてゆく、というのが、お決まりだと思います。
才能の求心力、さらに言えば、才能に投資しようという意欲や経済力が
こういう時代に、芸術の世界では、なかなか強固とはいきませんから
遺作の再演だけでは、いずれ行き詰まります。
そんな中、ベジャールの‘遺児たち’は、どのような活動を展開しようとしているのか。
映画 『ベジャール、そしてバレエはつづく』は、これを追ったドキュメンタリー映画です。
ベジャールが生前に語った言葉が回想されます。
「生き残り、発展するためには、創作が必要だ」
愛弟子だったジル・ロマンが、全身全霊を傾けてカンパニーを維持しようと
新作を準備する様子には、心打たれました。
加えて、ベジャールの遺した数々の作品を、現役組や引退組(含故人)の
録画のコラージュで、いくつもいくつも堪能できました。
・・・このDVD、欲しくなってきました・・・。
ジョルジュ・ドンの元気だった時の映像も、目玉の角度までジンと胸に響きます。
ジル・ロマンがベジャールの追悼公演で『アダージェット』を踊る映像も、
腕をちょいと上げただけで涙が出そうです。 何度も何度も観たいじゃないの。
昔の録画は粒が粗いのに、今の若い踊り手の生の舞台よりもずっと魅力的。
オリジナル作品の一部を生で観ることができた幸運に感謝。
今は未だベジャールと一緒に仕事をした人、存命中に彼のファンになった人が
世界中に大勢いますが、本当の評価は、その人たちの命の灯が次の世代に
何らかの形で継がれた後に明らかになるのかもしれません。
昨年急死したドイツの振付家、ピナ・バウシュについても、
世界各地のファンが、祈りとともに、今後の展開を見守っています。
追悼の舞台だけではなく、写真、映像、遺志を継ぐ創造者たちの
活動の紹介、その他できる限りの方法を尽くして
彼女の世界のさらなる発展を助けていただきたいと思います。
※ 映画 『ベジャール、そしてバレエはつづく』
2009年12月に東京にて公開~今春にかけて全国各地で公開。
公式サイトはこちら↓↓↓から
http://www.cetera.co.jp/bbl/top.html
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