「すべて」という邦題は当たっていないと思います。
「特別にカメラを入れた」というエピソードは、
オペラ座を取り上げた以前の映画にも使われてきましたし
これからも、この「特別な場所」は、さらに開かれ、取材を受け、
より多くの映像が発表されることでしょうから。
それにしても、迫力がすごい。
王さまが創設し、育て、そこから350年も続いてきて、
1,500名もスタッフがいるバレエの殿堂ですもの。
国が世界に向かって誇示する戦略の機器として、
お金と手間をかけて育成・維持しているもの。
その迫力の前で、日本の小市民の一人としては、
身も心も縮んでしかたありませんでした。
映画の中で紹介されるバレエの演目は、
コンテンポラリー系のプログラムが大部分を占めていて、
「新しいものをどんどん上演し、その中から古典になるものが残る」
という、ある種健全な新陳代謝がうまく続いているようです。
(古典中の古典に力が傾いている、どこかの国の事情とは大違い。)
膨大な録画を切り貼りした「映像のスクラップ」になっています。
が、中には「ブチッ」と切れる映像もあって、少々残念でした。
余韻や色気、という点では物足りないけれど、
ドキュメンタリーだと思えば、まあ納得もできます。
実は、この映画は、自宅から近い館での上映期間中に
何度も鑑賞のチャンスを逃してしまい、
なんと旅先の知らない街で「やっと!」ということに。
ある意味、とても思い出に残る映画になりました。
※ 映画 『パリ・オペラ座のすべて』 公式サイトはこちら↓↓↓から
http://www.paris-opera.jp/
バレエ団は2010年3月に来日公演(2年ぶり)。
10月には雑誌フィガロジャポン連載記事が書籍に。
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