「早いもので、もう3年経つんですね。 そう、随分と急な悪くなりようでした。
随分前にしこりに気づいて何度か診察していただいたのですが、
医者からは「心配ないものだ」と言われていたので、最後に同じ場所に
またしこりが見つかった時にも、まったく心配していなかったんですよ。
それが悪くなって・・・ 医者は「どうしてそうなったかわからない」としか。
55歳でした。
小さい住まいですから、大きな作品はなかなか飾って眺めてやることができずに
倉庫を借りてしまってばっかりなんです。
だから、こうして久しぶりに画廊に並べていただいて、皆さんに楽しんでいただけて、
作品たちも三浦も私も、本当にうれしく思っています。
はい。期間中は毎日会場へこうしてつめています」
亡き画家の優しい飄々とした、それでいて頑固な生き方を終始支え続けた奥さまに
直にお目にかかり、思い出とともにおしゃべりするのは、実は初めてでした。
想像していたとおりのお人柄、センスの良さ。 笑みを絶やさない穏やかな方でした。
20歳代、結婚前に描いた自画像(油絵)を初めて拝見できました。
晩年の自由闊達なストロークとは大違いの緻密なものでした。
目は輝いているけれど、心の中に捜し求めるものを抱えて
そのエネルギーのやり場がわからない、という不安。
野性味がぎゅうぎゅう詰めになった若い青年の容貌。
画面はどこまでも暗く重苦しく、こちらがしっかり立っていないと
あおられてぐらぐら揺らいでしまいそうな力が襲ってきます。
画家の名前は三浦吉十(みうら・きちじゅう)さん。
「展覧会はね、うれしいからできる限り毎日ずっと会場につめているの。
会期中、こんなにつめている人もめずらしいかもね。でもそうしたい。 ふふふ」
と本人がおっしゃったことが、ふうっと思い出されました。
油絵は心の中に。
こういう作品は手元に。
もう3年もたつんですね。
グラフィックデザイナーの平松暁(弟さん)、またデザインプロデューサーの池亀拓夫さんと懇意にしており、その縁で吉十さんとは色んな場所で同席させて頂いていました。飄々とした人懐っこい笑顔が偲ばれます。
「手元に…」の作品はとてもいいですね。
投稿情報: picnicmania | 2010/12/06 15:50
picnicmaniaさん!
こんにちは。書き込みありがとうございます。
そう。 3年も経ったなんて。
懇意にされていたんですね。
知らないところで人間関係が繋がっていることってけっこうあって、
「狭いなぁ」といつも思います。
投稿情報: Calvina | 2010/12/07 04:35