第144回芥川賞受賞作2点を読みました。
http://www.bunshun.co.jp/award/akutagawa/index.htm
西村賢太 著 : 『苦役列車』
朝吹真理子 著 : 『きことわ』
読書力が落ちているのか、朝吹作品は何度途中から読み返してみても
自分の腹にすんなり落ちてゆかない、というか、引力を感じませんでした。
「たいそう美しい」「有望株である」という評判を、先に目にしていたせいも
あったかもしれません。 先入観や予備知識って怖ろしいですね。
一方、西村作品は、決して好きな作風ではないのに、
私の中にぐいぐい入り込み、そしてそこから逃げ去るということがありません。
(デフォルメされてはいても)「本当にあったこと」の持つ匂いや迫力に、
無意識のうちに好感を持つのかも。 それから、「リズムで巻き込む力」かな。
西村氏が「私(わたくし)小説」一直線で、先々どのような人生を歩まれるのか、
次は何をどのように書かれるのか、興味深いところです。
今回の最大の話題は「好対照」。 どちらか一作品だけが受賞していたら、
随分つまらないことになっていただろうな、という感想を持ちました。
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