たまたま国外に出ている時にタイミング良く(日本よりも早く)
公開されたのですが、現地でだけ見聞きできるもののほうを
優先したくてスキップしていました。
その後、予告記事や感想・批評をチェックしているうちに3.11を迎え、
心がキリキリと痛みそうなものは、避けに避けつつ今に至った次第。
もともとホラーはほとんど観ないので、これもバレエに関心が無かったら
観ていなかったと思います。
感想は・・・
「ナタリー・ポートマン、よく頑張りましたね」のひと言。
賢くて美しくて賞ももらってママになって・・・と順風満帆です。
もうちょっとげっそりなって化粧を工夫したら、オードリー・ヘップバーンに
似てくるんじゃないでしょうか。 SWでアミダラを演じた頃からさらに進化中。
アートの世界は、もともと「心や命を削ってでも到達したいものがある」
という人たちの住処ですから、「あ、そうです。こんなこともあんなことも」と、
個人的には、ストーリーについては驚きも(新鮮な)恐怖も感じませんでした。
ある意味、当然のことです。
ただ、そこのところを一般にもわかりやすい形で映像化した、という意味では
素晴らしいと思います。
主役のニーナに、カンパニーの監督が言い放つ台詞、
特に、「サプライズ・ユアセルフ~」(時には、自身を喜ばせ、驚かせる
くらいでなくては、観客をサプライズさせることはできない)というところが
ニクイのねっ。(笑)
"Perfection is not just about control. It is also about letting go.
Surprise yourself so you can surprise the audience."
心理学者がどう観るのか、というのも興味あるところです。
幼少から芸事に集中して特殊環境で育てられた人たちの中には
未だ若いのに(良くも悪くも)老成した例や、一般社会には適合が
やや難しい例もある、と思われますから。
技術面では、もともとオディール(黒鳥)が大切なテーマになっている映画なので
鳥の羽ばたきをモチーフにした動きが画面にアップで映らないわけはないのですが
主役級の役者たちの背中から首のライン、耳元から肩、そしてそこから指先へ
落ちてゆくラインが、スワンを踊りこんだダンサーのものとは異なるものに見えました。
そこのところには、もっとスタントを使って欲しかったかな・・・。
あ、でも、スタントに選ばれるのが、私好みのダンサーじゃない場合も
考えられますね・・・。 むぅ。
※ 今さらここでご紹介するのもどうかと思いますが、一応・・・
『ブラック・スワン』 公式サイトはこちら↓↓↓から
http://movies2.foxjapan.com/blackswan/
http://www.foxsearchlight.com/blackswan/
待ちかねていた、カルビーナさんの『ブラック スワン』評!
“主役級の役者たちの背中から首のライン、耳元から肩、そしてそこから指先へ
落ちてゆくラインが、スワンを踊りこんだダンサーのものとは異なるものに見えました。”
密かに私がカルビーナさんにお聞きしたいと思っていたことへの答えをこの1節に見つけて、胸に引っかかっていた異物がすっと溶けました。
私はバレエを語るにもまったくのド素人なんですが、
女優がバレリーナを演じる困難さを引き算しても、ナタリー・ポートマンの羽ばたきは、
「あれ?『白鳥の湖』の羽ばたきがこれでいいの?」と思っちゃったんです。
監督は、ナタリー・ポートマンの努力に敬意を払ってあえてスタントを用いなかったのか。
作品全体の完成度を高めることよりも、それが大事なことだと考えたのか。
はたまた、羽ばたきの上手下手はたいした問題ではないと・・・?
「いや。やはりスタントで行こう。」とは
言い出せない状況だったのかしらん。
投稿情報: @G | 2011/06/26 15:57
@Gさん!
記事をアップしてすぐにコメントをいただいていたのに
こちらのアップが遅れてごめんなさい。
早くからご覧になっていたんですよね。
ホラーって知ってて、でしたか?
「あれー、この人の腕がしなると、関節がもっと
たくさんあるみたいだなー」とか、
「腕が長く長く見える」とか、簡単に言えばそんなものが
スワンの羽ばたきの際に見える気がすることがありますし、
「そんな風に練習しなさい」と、踊り手は言われているはず。
それから、肩の上に筋肉モリモリが見えると
だいたい冴えなくなります。
古典を踊るダンサーの肩は落ちているほうが良いですね・・・。
やっぱり、スタントが言い出せなかったのかしらね。
投稿情報: Calvina | 2011/06/29 01:06
カルビーナさま
ご丁寧にありがとうございます。
実は、ホラーとは認識なく観ました。
ドキュメントタッチの心理劇かと。。。
バレエに無知な私が、ナタリー・ポートマンの羽ばたきに「おやっ?」と感じることができたのは、
1997年に来日したアンナ・プリセツカヤの
白鳥を観る機会に恵まれたからなのでは?と
最近ふと思い当たりました。
その芸術性と技術の高さを理解できなくとも
私が目にした舞台にはまさに瀕死の白鳥がいました。
『ブラックスワン』の白鳥から、マイヤ・プリセツカヤへと興味はとんで、
現在は『闘う白鳥』を読書中です。@G
投稿情報: @G | 2011/07/02 23:07
@Gさま
そうだったんですね。
@Gさんのコメントで思い出したのですが、
宝石鑑定の仕事の修行を始める際に一番有効なのは
「最上級の至宝を浴びるように観る、最初は
何がなんだかわからなくても、先輩方が「これは本当に良い」
と評価している至宝を、一生懸命に数多く観るということだ」
と読んだことがあります。
今回の例とも通じるところがあると思います。
『闘う白鳥』、興味深い本ですよね。
また読後感など教えてください。
楽しみにしています!
投稿情報: Calvina | 2011/07/03 10:00