この二人の組み合わせの本を
実現した時点で、この本の‘勝利’は
すっかり決まったようなものだったのでは。
村上氏の発案→実行による対談の記録。
互いの心が共鳴するポイントを探す作業の記録。
村上ファンの中にも、こんなに村上氏が良い耳をもっていて
こんなに丹念に音楽を聴き込んでいるとは知らない人も
多かったのではないでしょうかね。
ジャズとクラシック音楽を浴びるように聴き、文筆による創作活動を
天職として続け、世間もそれを認めていて、生きるのに不自由しない、
という生き方をしている人が、この世の中には本当にいるんですね。
複数回の対談が実現した理由の一つは、小澤さんの病気療養のために
指揮の活動が休止していて、普段ならとれない時間がとれた、ということ
でしたが、今はただ小澤氏の体調・体力・気力の快復を祈るばかりです。
快復途中で指揮されるのを拝見すると、「誰が止めてもやるんだな。
それが小澤さんの選択だな」と理解できる反面、ひどく心が痛むので・・・。
※ 『小澤征爾さんと、音楽について 話をする』
小澤征爾、村上春樹・著 新潮社
2011年11月初版 1,600円+税
ISBN978-4-10-353428-0
コメント