1971年6~7月、日本経済新聞に
連載された自伝が好評だったため
それを元に単行本として発行されたもの。
当時本人は91歳でした。
‘伝説’を山ほどこしらえた人だったけれど
破天荒なばかりではないその骨の通った生き方や性格が
淡々と書かれている部分も多くて、やや意外・・・
でも、やはりおもしろい人ですし、おもしろい本です。
図書館や美術館の蔵書で探してでも読んでみてください。 芸術の秋にぴったり。
「石ころ一つとでも十分暮らせます。
石ころをじっとながめているだけで、何日も何月も暮らせます。」
ですと。
この本の末尾で、谷川徹三が熊谷の人となりと作品を解説した
文章の中に、志賀直哉の文章が引用されており、これまた
たいそう心に沁みるので、ここに抜書きしておきます。
「創作の仕事は其人の所謂天分にもあるが、
それ以上により進んだよき作品を作ろうという
不断の意思が必要である。
一方からいえば此意思を持ち続けられるという事、
それが既にその人の天分であるとも考えられる。」
※ 『へたも絵のうち』 熊谷守一・著
日本経済新聞社 1971年11月第1刷
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