日がどんどん落ちてゆく中を急いで家へ。
ぽっかりと凪の状態になって底冷えがいっそうひどく感じられる夕暮れ時。
何やら見えない不気味なものが身の近くにぞわぞわと寄ってきているような
恐ろしさがあります。 それは淋しいとかもの悲しいとかいうのとは違います。
「あぁ、こんな平織のストールじゃなくて、フリースか毛足の長い
ふっくらしたスヌードかマフラーを、首の上のほうまで引っ張り上げて
から、外へ出るべきだったな。今日は失敗」と心の中でつぶやきながら
早足で進むのでした。
こういう晩は、たくさん湯気が立つものをいただくに限ります。
怖ろしい気配が、ちょうど磁石の同じ極が反発するように
ピュッと私から離れるような気がします。
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