いよいよ日本で封切られました。
美しい身体のライン。
しかも、美しいだけではなく強靭なのです。
持って生まれた身体条件のうえに
ワガノワのトレーニング、生活、精神的な
コントロール。それらの持続。
すべてが合わさらないと得られない奇跡。
関係者の多くが観たら絶望してしまいそうな奇跡的な美と奥深い役作り。
一番興味深かったのは、インタビューの部分でした。
ロシアバレエの伝統の中で選ばれ、育てられ、
そして、現在もロシアバレエの中枢にとどまり、
自分が踊るだけではなく、名門劇場(カンパニー)、
ひいてはロシアバレエそのものの屋台骨も担っている
(に違いない)この人は、想像以上に物静かで知的で、
自分に酔うことが一切ありません。
冷静に自分を、そしてバレエを、さらには人生を観ているようです。
ロシアがこれまでに生んだ伝説的な大スターたちと異なる点の一つは
他国との交流・交換が(少なくとも以前よりは)できる時代の到来に
より、自国に本拠を置きながら、昔ならば手の届かなかった作品を
踊る(上演する)チャンスも得られる、ということではないでしょうか。
バレエの世界では、現在「大物振付家が芸術監督として、自作を
次々に発表する劇場(カンパニー)」というのは、歴史が長い
国々でもほとんど存在しません。
結果として、一世を風靡したダンサーがピーク時以降にこの役割を
担う例が多くなり、これには向き不向きが大きく影響するため、
成功を見ることは稀です。
ロパートキナの場合は、ディレクションという非常に難しい
ミッションにも向いているような気がします。
と、いうことは、息長く活躍する姿をチェックできるかもしれません。
彼女の発した「成功を得たら、さらに努力しなくてはならなくなる」
という意味のフレーズは、どこぞのアスリートの発言とも
一致します。 犠牲にするものの多さを想います。
『瀕死の白鳥』はおなじみの古典ですが、この映画では
まず『愛の伝説』の紹介が迫力満点の出来。 他にはマーラーの
アダージェットで踊る『薔薇の死』も好みでございました・・・。
本人が言っているように、『オネーギン』の主役・上演が実現して
生で観られると良いなあ、と思っています。
もちろん、ジョン・クランコ版全幕でお願いしたいです!
※ 映画 『ロパートキナ 孤高の白鳥』 公式サイトはこちら↓↓↓から
http://lopatkina-movie.jp/
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