黒のローファー。 色褪せの無い細身のブルージーンズ。
テーラードカラーのコートはチャコールグレー。 薄手フラノ。
その下には、墨黒色の薄手Vネックセーター。 黒縁のメガネ。
化粧っ気はまったく無し。
唯一、短く切り揃えられた爪に、シャネルの愛した真紅のマニキュアが。
彼女が動くと、赤い点々がちらちら動いて見えるなあ、というのが
最初に目が留まるきっかけでした。
「歳をとったら、使えるようになりたい憧れの真紅」と私が決めている
シャネルの赤を、この人は軽々と使いこなしているのでした。
さらにおもしろいことに、この人は「もしかすると高校生かな」というくらい
若かったのです。 パーマっ気の無いロングヘアーも白い肌もピッカピカ。
それらも立派なアクセサリーの役割をはたしていた、とも言えますか。
お母さんのマニキュアを借りて、とびっきりのお洒落をしてみたのかな。
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