『沈黙』を初めて読んだのは中学生の時。
ゾッとするほど共感する箇所があり
何度も読み直すのが恐ろしいような
感覚がずっと身体に刻まれたまま
今日に至っている次第です。
今回の映画化を予告映像で観て以来、「観たいけれど観るのが怖い」と
ずっと思ってきました。 逃げてばっかり。
最近刊行されたばかりのこの講演集を、先に読んでから「観に行こう」と
やっと決めたのでした。 背中を押されたような感じですね。
生前の狐狸庵先生のお茶目な姿や言動と、闇と向かい合い続けた遠藤周作氏の
お気持ちの両方を、この春はもう一度しっかり考えたいと思って。
なんだか「読み方がやっぱり浅かった。まだまだやな」と、反省しきりです。
作者本人がお棺に入れて欲しいと選ばれたくらいですものね。この作品は。
東日本大震災の直後、「神が沈黙を破って助けてくださるとしたら、
まさに今しかないだろう。 何故、そうなさらないのか。 存在しないから
なのではないのか」と問うた人は、キリスト教に関係するしないにかかわらず
大勢おられたはずです。 今でも大勢おられるのではないでしょうか。
ところで、牧野伊三夫さんの作品がこの本に挿画としてくっついているのは
何故かしら・・・。
なお、講演集『人生の踏み絵』のほうでは、『沈黙』以外の作品についてや、
遠藤氏が何度も読み返したという(他の作家たちの)本、翻訳した本のこと
にも触れておられます。(触れたものも収録されています。)
映画の感想は・・・ 語れるようになるのは、まだまだ先ですね・・・。
3時間弱が、私にとってはあっという間に過ぎてゆきました。
遠藤周作・著
2017年1月初版 新潮社 1,400円+税
ISBN978-4-10-303523-7
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