ジャズやピアノに縁の薄い人たちにも
ぜひぜひ観ていただきたいドキュメンタリー映画
(2015年アメリカ)が、ついに劇場公開されました。
私が最も好きなピアニストの一人、
ビル・エヴァンス(William John Evans, 1929-1980)。
幼少期から51歳で‘緩慢なる自殺’をしてしまうまでの間に
彼が生み出した数々の美しいため息のような音楽と
その裏にあった苦しみを含む生活を、本人の回想やインタビュー、
演奏、写真や映像、関係者たちの証言などを、パッチワーク
のように繋ぎ合わせることによって明らかにしてゆきます。
こんなに多く、本人の肉声を聴いたのは初めてでした。
どのようなクラシック音楽の素養と修練があったのかも
これまでおぼろげにしか知識が無かったので「ほほぅ」と
驚くやら納得するやら。
低く艶のある声。人生の前半、オールバックにした艶髪と
ネクタイとがセットになった姿で、鍵盤に頭がくっつきそうに
なるまで上半身を前方に折り曲げて弾く様子が、やはり一番好きかな。
健康的な美少年時代の様子も微笑ましい限りでしたが。
同時代を生きた名プレイヤーたちが、演奏を通してではなく
言葉でビルとその音楽をどう語るのかも、興味深いのでした。
最近亡くなった方も多く、どれも貴重な証言になっています。
ビルは「美と真実の追求、これだけでいい」と言い残していなくなりました。
今でも、その人生と作品は、多くの後輩たちに影響を与え続けています。
今春、この映画のコンピレーションアルバムも発売されましたが、
どちらかと言えば、私が欲しいのは映画のDVDかな・・・。
輸入盤ならば入手可能のようです。
※ 映画『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』
公式サイトはこちらから。 ぜひご覧ください。
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