電車で真向いに座った女性が、おもむろに文庫本を
取り出しました。
私の好きな作家の連続小説で、最終巻でした。
いきなり、最後の数ページを開いて読み始めたので、
「あーっ、これは、いよいよ結末に差しかかっている
のかな」と思ったのですが「でも、もしかすると、
読んでしまったけれど最後のところがもう一度
読みたくなったのかな」とも。
そして更に「いやー、これは、未だ読んでいないけれど
結末が気になってしかたないから、最後のところを
先に開いて急いで読んでいるのかも!」とも。
ん-。気になってしまって、ろくに居眠りもできませんでした。
私は、その最後の部分を(初めて)電車の中で読むことになり、
不覚にも涙をこぼしてしまったのでしたから。