Calvina's Corner

赤いショートコート。白いセーター。 Red and white

２週間ほど前から、いつも通る道に面した店のウィンドウに
赤いショートコートが飾り出されました。

下に合わせてあったのは、ハイネックの白いロングセーター。
襟元とコートの裾の下から、白色が見えるというわけです。
シーズンを意識したコーディネートであることは一目瞭然。
楽しませていただきながら、その前を往復していました。

登場して一週間が過ぎた頃、赤いコートの胸元に、
ポッと大きめの、そう、直径が10cmほどもあるような
ブローチが留めつけられました。

白い毛糸を編むともなしに丸くまとめて、花芯にあたる部分に
クリアガラスのボタンと銀色のスパンコールを控えめに寄せて
付けてあるだけの、とてもシンプルなものでした。

でも、これで、全体の印象が一変。遠目からも、薄暗がりの中でも、
夜間に人工の灯りがあたっても、はっきりと二色のクリスマスカラーが
通りがかりの人たちにも目に付くようになったのは明らかでした。

イヴを待たずに、コートは見染められてお嫁に行ったようでした。
あのコーディネートのまま、そっくりもらわれていったのかな、と
勝手に想像しているところです。

Tシャツもドレスも！ Both T-shirt and dress

仲良しの二人組がおしゃれ談義。
聞くともなしに耳に入ってきた会話・・・

「なんか良いよね、あの人。
Tシャツだけ着ていてもなんだかおしゃれだもん。
何がどうして素敵なのかわかんないんだけど」

「そうそう。それにさ、ドレスも素敵だよ。
肌を出してもいやらしくならないんだよね。
それでいて、誰にも真似できない素敵な感じが出てる」

「Tシャツもドレスも両方良いって人は、とっても少ないよ」

本当に。当の本人を私は知りません。芸能人なのしら。
それとも、知人？　

でも、とにかくこの会話の内容にはすんなり共感したのでしたよ。
キーワードとしてわかりやすいですね。Tシャツとドレスって。

あかあおきいろ。 Colorful clothing

おかあさん、原色のシンプルかつ力強い赤のコート。
息子さん、原色の黄色のスタジアムジャンパー。
おとうさん、澄んだ空色の短めのコート。

おかあさんと息子さんは、手ぶら。
おとうさんだけが、大きなメッセンジャーバッグをたすき掛けに。
そのバッグは・・・底抜けに明るい青色でした。

一つ一つの色が吟味されていることと、どのジャケットも（バッグも）
ナイロンやポリエステルなどの艶が際立つ布地だったことが、
美しい色と全体の調和を助けていたように感じました。

ご家族みんなで公園を歩いて・・・というより、落ち葉を踏んだり
蹴散らしたりしながら移動中で、遠目からは一枚の絵のように見えました。

輝く青色のブラウス！ Shiny blue blouse

老舗の喫茶店の一番奥に座って本を読んでいたら
斜め前に年輩の女性が二人仲良く入ってきました。
顔かたちが似ていたので、おそらく姉妹だったのでしょう。

お二人とも、セミ・ショートの髪がゆるくカールしています。
わざと白髪を半分くらい残してメッシュ風に染めておられました。
ノーメイクでしたが、目が大きくて全体に整った顔立ち。
フロア中がパッと明るくなったように感じました。

日本の女性には珍しく、お一人は淡いクリーム色の地に
大きなワインレッドの花がいくつか散ったシルクの上着を、
もうお一人は、真っ青な、そう、ラピスラズリとトルコブルーを
足して２で割ったようなツヤツヤのシルクのスモック風ブラウスを
着ておられました。

これらの大元の布地は、いったい何だったのでしょう・・・。
着物ではないような。と、すると、インドのサリーかな。
タイシルクだったのかもしれません。

良いなあ、こういうおしゃれ。
良いなあ、二人でゆっくりお茶を飲んでおしゃべりして。

上手に歳を重ねることが、そうそうたやすくはないなあ、と
思うことも少なくない今日この頃なので、こういう素敵な人たちに
出会うと、そこだけ光が当たっているように見えてしまいます。

ここ何年かの間に、年輩の女性たちのおしゃれスナップ集が
いろいろ刊行されていますが、私は、おしゃれそのものだけではなくて
その人達が元気で年を重ねているその様子をこそ、みんなが観たいのかも
しれないな、なんて考えてしまいました。

アーミーグリーンの・・・。 Army green JK

軍服の機能性には文句のつけようのあるはずもなく、
これまでにトレンチコートやピーコートなどなど、
たくさん日常の服のデザインに取り入れられたものがありますね。

　私もずっと「アレンジ版」を楽しんできた一人
　ですが、一着だけ、本当の米軍のジャケットを
　手元に置いています。珍しく薄手の女性用で、
　どうやらベトナム戦争の際に作られたまま
　デッドストックになっていたもののようです。

戦争・戦闘、ということを目的に作られたものと自分とが
どのように折り合いをつけてそれを手元に置き、使うのか、
ということには、いろいろと思うところがあります。

一つだけ今考えているのは、メメントモリに近い感覚・・・
漠然とですが、争いを止められない人間の性について
考え続ける、という意味をこめて、背筋を伸ばしながら
遠慮がちに着させていただこう、ということ。

まっさらのままでは重くなる気がして、必ず何か
ファンシーなものをくっつけることにしています。

汕頭（スワトウ）刺繍のハンカチ。

　中国・汕頭刺繍のハンカチは、手仕事なのだから
　価格も上がるのは当たり前ですよね。
　宝石に匹敵するように豪華なものもありますが
　私は日常使いできる素朴なものが特に好きです。

子どもの頃から好きで大切にしているものと
今でもときどき見つけては買い足しているものとが
引き出しに常に仲良く並んでスタンバイ。
その様子を眺めるだけでもうれしくなります。

写真は、どこかのご家庭でずっと眠っていたギフトボックス。
最近見つけて連れ帰ったものです。
小さなピンで、目立たないところを何カ所か留めつけてあります。

こういうものも、もうすぐ姿を消すか、庶民には手が
届かなくなるか、どちらかなのではないでしょうか。
中国の国情や世界情勢の変化も、人が生み出すもの、
人が価値を見出し、物欲を刺激されるものに、大きな影響を
及ぼしていることも、これを見ていると必ず頭をよぎります。

なんだか解体しづらいので、しばらくこのまま眺めるつもり。

秋の革靴。 Shoes for Autumn

　朝晩の空気と風が変わり始めました。
　服は未だ夏素材のほうが、身体に無理が
　ないと思う日もあります。色はともかく。
　ひと足先に、がっちりした革靴を磨いて
　履いて出かけたら、背筋が伸びて良い感じ。

赤紫色のロングスカート。 Reddish purple long skirt

おそらく綿ローンだと思うのですが、とても軽くしなやかな生地の
ロングスカートをはいて、颯爽と歩き去った人。

細身のボディー。黒髪を簡単に後ろで一つに束ねているだけ。
黒いニットのノースリーブ・セーターを合わせておられました。
靴がこれまたお洒落。赤紫色のエナメルのフラットシューズ。
ラインストーンの飾りもついていましたが、嫌味ではなく。

この季節の変わり目にはドンピシャリ。
ただ、体型や雰囲気やTPOが、こういうおしゃれを許さない
場合もあるのかな、とも思いました。特に、ウィークデーには。

紺色のスニーカーを家族で。 Navy blue sneakers

私の好奇心や感性が衰えてきたのかもしれませんが、この夏は
「おしゃれだな」と思える人をめったに見かけませんでした。
でも、先週末に、久しぶりに。

親子連れ（３人）。
最初に見かけた時には、ちっともピンとこなかったのですが、
徐々に徐々に、「あー、なるほど」と気がつきました。

３人が勝手に好きなものを着ているのに、紺色のスニーカーが
そのばらけた自由さを繋いでいたのでした。

小学生の坊や。黄色の半袖のTシャツのお腹のところに、
ゴッテリと正義の味方のイラストが。

お父さん。チノ素材の半パンに白いポロシャツ。

お母さん。綿のTシャツ素材のロングワンピース。グレー、無地。

ちなみに、各々のスニーカーは、紺色であることを除けば
メーカーもデザインもバラバラでしたよ。 これもなかなか良かった！
今は、これくらいの揺るさ加減が好まれる時代、なのかも。

死語「お盆を過ぎたら」。 Still very hot and humid...

　写真は室内に置いているワイルドストロベリー。
　狂い咲きのようです。
　「お盆を過ぎたら涼しく・・・」なんて言葉は
　もはや死語ですな。 涼しくなりませんもん。
　いったい、何を着たらやり過ごせるのでしょう。

気候だけにフィットするように考えるとしたら、
今の日本では、もう一年の1/3、いや、1/2近くは
夏服（と、夏服に近い素材のもの）を着ることになるのでは。

街のウィンドウには少しずつ黒っぽい秋服が並び始めていますし、
もう毛皮のコートだって見かけましたし（！）
耳を澄ますと、虫の音だって力強くなってきているのがわかります。
確実に時は進んでいるんだなあ、と、日々何度も思い知らされています。