少しだけ足が弱ってきた父親に、初めて案内してもらった古書街。
人ごみも公共の乗り物も、ますます苦手になっている父親。
それなのに、最寄の駅で電車を降りた途端に、
「ここをこう曲がったら、ずらりと小さな店が並んでいて、、、
あそこに一番良く通った店があって、店主の愛想は良くないよ」とかいう具合。
急に饒舌に、足取りも軽くなったようでした。
高価な研究書や、貴重な絶版本を、一冊ずつ丁寧に見つけては
苦労しながら手に入れてきた父親の世代、さらにもっと昔の人のことに
思いを寄せながら、真っ青な空の下、のんびりと散策します。
私は、古典バレエの一つである『海賊』の原作、
バイロンの詩の邦訳版を手に入れました。
父はと言えば「お父さんは、どっちかと言えば、(山ほどある)自分の本を、
むしろこれからどう処分してゆくかが難題なんだけどねぇ」とぼやきつつ、
また何か買っているのでした。
帰路につく前に、一緒に温かいうどんをすすりました。
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