「スウェーデンから世界へ向けて、いま輸出が伸びそうなもの?
そうねぇ、いろいろあるけど、推理小説なんておもしろいかな」
とは、知人のコメント。
「北欧モダン」のデザインやライフ・スタイルを
カタログのように並べたてる紹介ばかりではなくて、
もっと自国社会の内面・実情にも目を向けて知って欲しい、という
彼女の願望が、この一言に現れているのかなあ、と思いました。
スウェーデンの有名な警察捜査小説としては、
「マルティン・ベック・シリーズ」(マルティン・ベックは、
主人公の警官の名。マイ・シューヴァル&ペール・ヴァルー著/
1965~75年にかけて全10冊刊行)があげられます。
その時代が移る様を克明に描き出している、という点でも、
とても興味深いシリーズでした。
機会があれば、図書館ででも探してお読みください。
90年代に刊行された「クルト・ヴァランダー・シリーズ」
(ヴァランダーはやはり警官の名。ヘニング・マンケル著)も、
それらと同様に、一年に一冊の割合で刊行されており、
時代、社会の動きや問題点を、丹念に浮き彫りにしています。
テレビドラマ化もされました。
『目くらましの道』は、この「クルト・ヴァランダー・シリーズ」の
5刊目にあたり、本国では95年に刊行、英訳された後、
2001年に英国推理作家協会のゴールドダガー賞を受賞しました。
スウェーデン南部で、春の終わりから夏(最も美しい季節!)にかけて、
連続殺人事件が起きる、という設定です。
このご時勢の、やりきれない残虐な事件を扱っていますので、
はじめから「近寄れない」「近寄らない」という方もおられるでしょうが、
私はこれも北欧・スウェーデンのある面を明確に切り取った表現であり
注意深く目を向け続けたい、と思っています。
※『目くらましの道』 (ヘニング・マンケル/著、柳沢由美子/訳)
2007年2月初版 創元推理文庫 上・下巻
クルト・ヴァランダーは、お気に入りの警官の一人です。
その訳はというと、
離婚している、娘に遠く去られている、頑固な父親にしょっちゅう呼び出されている、恋人がいる、そして、仕事ができるってところでしょうか。
このシリーズを読んで、北欧の抱える問題を広く知りました。
常に話しがインターナショナルに展開するのは、作者流の筋立てなのか、
それともスウェーデンはじめ北欧諸国が、特に強く抱えていることなのか、
わからなかったんですが。
投稿情報: rakkyo | 2007/05/07 00:52
rakkyoさん!
おーっ。ファンなんですね。このシリーズの。
私はね、「マルティン・ベック・シリーズ」に出てくる
大男のグンヴァルド・ラーソンが、お気に入りー。(^^)
この人を日本人にしたようなタイプ・・・いませんか、ね。
どっかに。
投稿情報: calvina | 2007/05/07 13:11