互いの存在する時空や場所をこえて、
大切に感じ、距離感を計ろうと努力したくなる存在を持つことが
誰にでも必要なのではないでしょうか。
そして、心ひそかにその距離感を感じ続けることが。
最新の流行に疎くても、まったく気にならないけれど、
どちらかといえば、私の場合、会うことがなかなか叶わない人たちの中に
大切に大切にしたい存在が多いかもしれません。
その中には、すでに故人である、遠く離れて住んでいる、
気になっているが直接の知り合いでない、
大切だった関係が破れたり途切れたりしてしまっている、などなど、
いろいろな種類がありますが、「会うことが叶わない」という意味では
共通しています。
アンリ・カルティエ=ブレッソン(仏、Henri Cartier-Bresson、 1908-2004)。
今、そういう意味で、非常に気になっている人の一人です。
今夏、記事ほかで、彼の仕事の素晴らしさを高く評価しているものが、
いくつも目につきました。
東京(国立近代美術館)で展覧会が開催されたこともあるからでしょう。
(http://www.momat.go.jp/Honkan/Henri_Cartier-Bresson/index.html)
写真集や絵葉書を眺めたことがある程度で
どのような人物だったか、どのような仕事が有名であるのかも
いまだに特別詳しくは知りません。
たまたま手にした小さな白い新刊本は、
ブレッソン自身の切れ味鋭い文章の断片集でした。
彼の写真に対する思考、豊かな交友関係を
直筆も紹介しながら、浮き彫りにしています。
「写真を撮るとは、
頭と眼とこころが一本のおなじ照準線上で狙いをつけることだ。
私にとって写真は、世界を理解するための、
ほかの視覚的表現と切り離すことのできない手段のひとつ。
おさえきれない叫び、こころを解き放つ手段。
自分の独創性を明らかにするとか、
主張するものではない。生きる術(すべ)なのだ」 (1976年)
絵画にも文筆にも優れていたというこの人の、
どこがどのように素晴らしかったのか。
小さな本を抱えて、この人と自分との気が遠くなりそうな距離に
立ちすくみながらも、考えることだけはもう少し続けようかな、と思います。
※『こころの眼 -写真をめぐるエセー-』
アンリ・カルティエ=ブレッソン・著 堀内花子・訳
2007年7月第一刷 岩波書店
私もカルティエ=ブレッソンの「Paris」の写真集を持っています。
シャッターを押す瞬間の目のつけどころ、感じ方が違うんですよね。
それも、コンパクトカメラでさっと撮るから凄い!
写真って、1枚の中に撮り手のその時の心情、思いが写り込まれます。
そして、人が生きる以上に残ります。
Calvinaさんの写真も独特ですよね。本格的に勉強すれば良いのに。
指導者紹介するよ。
投稿情報: tai | 2007/10/06 00:15
taiさん!
写真はゆっくり学んでみたいなあ、とは思っていますよ。
もう少し時間と心に余裕ができたら。
カルティエ=ブレッソンは、画才、文才のほうにも恵まれていましたね。
ちょっとしたメモや手紙も見逃せない感じ。
投稿情報: calvina | 2007/10/06 20:37