ザ・リッツ・カールトン。
この名前を聞いて、高額な宿泊料を思い浮かべる人も多いことでしょう。
私もその一人です。
日本では、大阪に先に第一号、
そして今年の春、東京ミッド・タウンの中に第二号のホテルができました。
素晴らしいロケーション。そして「素晴らしい」お値段。
シャネルが定宿としていたことや、故ダイアナ元皇太子妃が
亡くなる直前に宿泊されていたことなどでも有名ですね。
先日、日本支社長、高野登氏(思ったよりもずっとお若くてびっくり)の
お話を聞きました。
現在の会社は、リッツ(フランス)と、カールトン(アメリカ南部)の
二つの別のホテル資本が一緒になっているもののようですが、
まず、セザール・リッツ氏(ホテル・リッツの創始者)のエピソードを
聞くうちに、「たぶんこの話は心に長く深く残るな」とその場で思いました。
・・・こんな具合です。
1.メイン・ダイニング・ルームに来る客が、コースしか食べなかった時代に
ア・ラ・カルト(つまり単品メニュー)を出し始めた。
つまり、材料に無駄ができ、費用が余計にかかるのがわかっていながら、
常識を覆して、お客さまのニーズに応えた。
2.当時、シャワー・ルームは部屋から離れた所にあるのが当たり前だったが、
各客室にシャワーを設けた。
水まわりの工事に、莫大な費用がかかった。
3.お客さまのうち、特に女性の肌がより綺麗に見える照明の工夫をした。
・・・などなど、数えればキリが無いほど、たくさんの常識破りをしたそうです。
業界からは損をしていると笑われても、お客さまからは好評を博したのだ、と。
経営理念と哲学にも、それは今も受け継がれているようですね。
常識を破ってでも、お客さまに喜んでいただく、ということ。
そのためには、従業員を何よりも大切に扱う、というベースを
頑なに守り抜くことも必要になってきます。
支払った値段以上のサービスが、本当にお客さまに提供できており、
それをきちんと受け止めるだけの力量・度量がある人だけが
客としてそこに在る、ということが成立すれば、
この先も、このリッツの遺したDNAは、
客があっと驚くとんでもないサービスを、
生み出すことができるかもしれません。
それが、新しいホテル業界の常識になっていく日も来るかも。
日本でそうなるまでには、相当な時間がかかりそうですが。
※参考図書:『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』
高野登・著 かんき出版 2005年9月初版 1,575円
ISBN:978-4-7612-6278-5 (4-7612-6278-8)
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