雪山で遭難する場面が出てくる映画(例えば『八甲田山』のようなもの)は、
なるべく冬には観ないようにしています。
自室が寒いので、ここではこの季節には、ぞっとする読み物も
なるべく避けるようにしています。 あったかいものが必要なんです!
日本古来の世界をファンタジーの形で書き表した『空色勾玉』。
この著者、萩原さんの別の作品『これは王国のかぎ』を読みました。
一気に砂漠で渇きを体験しているような気分になります。
その渇きは、生きていくことのうえで
自分自身が絶えず感じている‘心の渇き’にも
通じているような気もしました。
ぎらぎらと光る大気、焼けた大地の熱、時空を飛び越えるエネルギー、
そんなものがスピード感をもって押し寄せ、心地良く身体を突き抜けました。
リムスキー・コルサコフの有名な楽曲に想を得て章立てしてありますが、
あのねっとりした色気は、薄まっているようです。
●『これは王国のかぎ』 荻原規子・著
ISBN 978-4-652-07301-1 (理論社) 1,733円(税込) 03年10月
ISBN 978-4-12-204811-9 (中公文庫) 648円+税 07年2月 | |
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