「この一家には、舞踊の基礎をことさら大切にする気風がある」
という批評を、以前に読んだのを思い出しました。
とかく天才肌だと捕らえられがちな、当代中村勘三郎さん。
その長男、勘太郎さんの舞踊を観ました。
「高杯」(「たかつき」、と読みます)という作品。
酔っぱらった男が、売りつけられた高下駄を履いて
タップダンスを踊る、という設定です。
「酔っ払って、べろべろ」という演技や動作だけでも
大変に難しいものがあるというのに、
その上(いや、下?)に、高下駄ですよ!
勘太郎さんのひいおじいさん(6代目尾上菊五郎)が
西洋のタップダンスに着想を得て創り、
おじいさん(17代目中村勘三郎)の当たり役となった作品で、
中村家で代々大切に受け継がれている、ということです。
どっひゃー!
身体が弾むようによく動いて、そのキレが素晴らしかったのです。
家柄と才能は、歌舞伎のスターたちには不可欠でしょうけれど、
こういう芸から読み取れるのは、華やかさを支える見えない努力。
バレエのトウシューズと同様、
連続公演では、何足も下駄を履きつぶす、とのことでした。
日々、芸事に精進している人たちを観ると、
「居住まいを正す」という言葉を思い出し、
その時だけでも背筋がちょっとだけ伸びます。
この作品の録画を入手したいなあ、と思っているのですが・・・。
あ、それから、勘太郎さんのおとうちゃんの生の演技も観たいし・・・。
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