今秋公開の映画『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』をチェック。
こんな邦題を付けると、一般人は「ふーん、ミュージカル映画?」
とだけしか考えないと思うので、なにかと損をしている気がします。
気の毒に。
「『コーラスライン』へのオマージュ」って小耳に挟めば、
観に行く人も増えるでしょうに。
ちなみに、今回の新作映画の原題は、
『Every Little Step』(劇中歌の有名な歌詞に因んだ命名)です。
「どんなに些細なステップにも」という意味ですね。
無名のダンサーたちが、レオタード姿で、素の舞台に並び、
それぞれの人生やダンスへの想いを切々と語るオーディション風景。
それをそのままミュージカルに仕立てるのは、前代未聞のアイディア。
初演時(1975年7月)から、多くの人たちの心をつかみ、
記録的なロングランとなりました。
きらびやかが当たり前だった、かつてのブロードウェイから、
シンプルで力強いこの作品が生まれたあたりから、
ミュージカル自体の路線や間口の広さにも変化が現れました。
コーラスラインとは、
もともとスターの後ろに並ぶバック・ダンサーたちが
「これより前には出るな」という基準として
舞台上にひかれる境界線のこと。
ところが、そこに立つ役を勝ち得るオーディションにさえ、
なかなか到達できない卵たちが大勢いるのです。
映画化は今回が初めてではありませんが、
以前の作品は、あまり冴えたところがなく、評判もいまひとつでした。
さて、今回の作品(『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』)。
ミュージカル『コーラスライン』を再演するためのオーディションを
カメラで長期間追いかけ、初演の準備段階からの記録を
織り込みながら作られました。
どこをどう切っても嘘が無いし、前の映画より、うまくできていると思います。
私はもう、どんな駄作と評されようと、この作品自体に心酔しているため
関係している作品は、何でもかんでも、必ずチェックすることにしています。
ブロードウェイ(本拠)でロングラン中の舞台を観て、来日公演を観て、
日本語版(劇団四季)を観て、LPレコードを擦り切れるまで聴いて、
ビデオテープも擦り切れるまで観て、楽譜も読んで、
それでもまだ「足りないなー」と思っているくらいです。
それは、この原作が、踊ること、舞台を目指すことのなかに、
いつもついて回る苦しみや不安、暗闇を、
そのまま正直に写し取っているからかもしれません。
その暗闇をちらと覗いた端くれですからね、私も。
また、現実に、その暗闇と戦っている人たち、
戦ってきた人たちを、個人的にもたくさん知っていますからね。
この新作映画も何度も観ることになると思います。
でもねぇ、やっぱり、原作というか、大元の舞台作品『コーラスライン』を
知っている観客のほうが、堪能できる度合いが増すかなあ、というのが
正直な感想でした。
新しい映画から観て、それから原作へ、という道もあるのかな。
ここから蛇足。中の好きな歌曲から一部の歌詞のみ、ここに。
「愛したもの、愛したもののためにしてきたことに、悔いなし」
という意味の歌です。
Kiss today goodbye,
And point me toward tomorrow.
We did what we had to do.
Won't forget, can't regret
What I did for love.
※『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』公式サイトはこちら↓↓↓から
http://www.broadway-movie.jp/
(何故か、アナスイとコラボのキャンペーン有り・・・)
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