フィギュア・スケートのシーズンに入っていますが、
女子選手の中でいつも目を奪われる選手がいます。
キム・ヨナ(金妍兒)さん。18歳。
あくまでもプロのパフォーマーではなく、
競技生活を送っている「選手」なのですが、
彼女はいつも、他のどの選手よりも、‘踊って’います。
今シーズンのショート・プログラム:
『死の舞踏』(サン・サーンス作曲、写真左参照)
フリー・スケーティング:
『シェヘラザード』(リムスキー=コルサコフ作曲)。
リンクの真ん中にスタンバイした時から、
もうその役柄の顔になっていて、
黒目の位置まで完璧に役を物語っていて、
表情も「笑う」「哀しげな顔を作る」などという
チャチなものではなく、もう‘そのもの’です。
よく観察すると、例えばスピンをしながら背中がしなり、腕が動き続けていても、
「もしも軸がまったく回転していなくても、と想像してみても」
美しく力強く、全身で語っていることが、わかっていただけると思います。
「この年齢で、スゴイ!」という賛辞が、テレビでもよく飛び交いますが、
教わらなくても自然にそれがわかる人、というのが世の中にはいて、
年齢は関係ありません。 たとえ、幼児でも、です。
入念に濃いメイクを施し、長いまつ毛を付けても、
顔や表情が真の意味で物語っていない選手がほとんど。
ヨナさんは、はっきりと太目の黒いアイラインだけで、
死神にも妖艶なアラブの女性にも変身し、雄弁に語ります。
ただし、競技としてのスケートでは、ジャンプ他の運動能力や技術も
要求され、採点されますから、総合成績がもう少し低くても
「踊ること」に長けた選手が、他にもいるのかもしれません。
上位の選手しか、テレビでは紹介される機会が少ないので、
この点よくわかりません。
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