禅語を集めて、味わい深い書と併せて紹介する小さな本。
ぱらぱらとめくっていましたら、「両忘」(りょうぼう)という言葉を説明する箇所に、
こう書いてありました。
「白か黒かを考え始めてしまうと、美しい灰色も忘れてしまいます。」
ちなみに、両忘というのは、二元的な考え方(例えば、生死、貧富、苦楽など)を
やめてしまうことです。これができると心に静寂が得られる、とされています。
・・・「美しい灰色もある」というのは、
力強く、勇気付けられる考えでした。
気がつかなかった、というよりも、
忘れていた概念なのかもしれません。
こういう美しい言葉の解説、書の鑑賞を
だらだらとくつろいだ格好でできる、ごく気軽なスタイルの本が
気にいっていて、「もっとたくさん出れば良いのに」と思っています。
この類を見下す人もいるかもしれませんが、私は好きです。
・・・と、いうより、難しいとわからないですから。
※『ほっとする禅語 70』
文:渡會正純(わたらい・しょうじゅん)
書:石飛博光(いしとび・はっこう)
2003年5月初版発行 二玄社 1,000円+税
ISBN:4-544-05127-4 続編もあり。
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