私の身辺でも、まさに様々なことが起こった年でした。
それでも、もっと遠くの高みから私の周辺を見やれば
「まだまだ平穏なうち」なのだと思います。
平穏に年を越せる幸運に感謝しなくては。
年の終わりに、最近読んだ本の中から、
心に残ったものを、ここに少しだけ書き留めておこうと思います。
皆さまもどうぞ良いお年を。
この一年間、当ブログをさまざまな形で支えていただき、
どうもありがとうございました。
「それにしても、どうして人間は
こういつまでも対立と抗争を繰り返すのだろう?
もちろん、それぞれの民族が生み育んだ固有の文化を
大事に思い、それを守ろうとするのは当然だが、
それなら、異なる他の文化に対しても
相当の理解と敬意を払って然るべきだろう。
いま私たち(人間)に最も必要とされるのは、
自分たちの文化や伝統を絶対視せずに、
相対化してみることができる眼ではないだろうか。
そして、私たちひとりひとりの生き方が
この地球の命運をいかようにも変えるのだという、
人間としての自負と、誇りをもつことだろう。
政治や軍事力に頼らない、小さな個々の生き方を
連ねることでしか、この状況を打開する術は無いようにみえる。」
(『武満徹 エッセイ選』の中の「希望」という作品より抜粋。
ちくま学芸文庫 08年9月初版)