最近、家から比較的近い映画館が閉じるというニュースを読みました。
(正確には、完全廃業ではなくて、成人映画だけの上映館になるとのこと。)
ここは、マイナーな作品、よそが上映に問題があるかもしれないという理由で
しり込みしていても、支配人が「おもしろい!」と思えば持ってくるなど
なかなか気骨のある運営をしていたのに、とても残念。
地方の奥深く入り込んで行けば行くほど、中央で上映している
「小粒でもぴりりと辛い系」の映画は、時間的に遅れてしか上映されませんし、
大掛かりな話題作でなければ、上映されないままに終わる場合もあります。
「DVDが出るなら良いじゃないの。風邪をもらう心配も無いしさ」という
考え方もあるかもしれませんが、なんだか淋しい現実です。
中央にずっと生活の場を置いている人にはピンと来ないであろう現実。
『ファイティング・シェフ~美食オリンピックへの道』は、
07年制作のスペイン映画。東京では09年10月10日に公開されました。
世界的なシェフの登竜門、コンクール(ボキューズ・ドール)の様子を
スペイン代表の若手シェフ、へスースさんを中心に追ったものです。
もち、大御所ポール・ボキューズ本人も映っています。
親族や友人にも料理を仕事にしている人がいるので
この映画はぜひともチェックしようと楽しみにしていました。
入学試験や就職試験と同じく「傾向と対策」が大変重要。
このコンクールの審査員が何を好むか、どう観察・試食するかを
よく考えて、それから対策を練り準備します。
最後に、自分が背負っている国と自分自身のアイデンティティーを
如何に、どれだけ、盛り込むかがまた知恵の絞りどころ。
金銭的にもとんでもない額をかけないと準備できないし、
チームを作って下支えをすることも不可欠なようだし、
まさにオリンピックとおんなじですな。
スペイン代表のへスースさんは、準備と練習とプレッシャーで
押しつぶされそうになっても、
「人間には限界があるということがわかった。
まだまだ伸びるということも」というようなことをつぶやきます。
畑違いの世界に住んでいる人でも、それぞれの人生を
それぞれ大切に進んでいるんですね。 そこのところは皆共通。
蛇足ですが、そのシェフのママが作るパエリアも、絶品に見えました。
最後にこれが大写しになるところなんて、本当に小粋でジンときます。
この映画は、カメラ・ワーク、構成・編集や選曲もセンス良いですよ。
凡人の私ですが、大切に料理したものを供される場面では、
もっともっと心して、ていねいに観察・鑑賞・賞味・満喫できる人間を
目指さなけりゃ、こりゃたいそう失礼かもしれんな、と思いました。
あぁ。なんだか素晴らしく手の込んだ美味しいものが食べたくなったな。
それから! へスースさんも、私が憧れていて今年入手した包丁を
使っているのを発見しました。
この包丁のことは、後日当ブログでも書きたいと思っています。
※ 『ファイティング・シェフ~美食オリンピックへの道』
公式サイトはこちら↓↓↓から
http://bishoku-movie.com/
コメント