本当は、読むのが遅すぎましたね。
話題になった書なのに、
「すっかり置いてきぼりだー」という感じ。
それでも、やっとかじりました。
身体にしみついている言語が
日本語一辺倒ではない人の、利と不利。
両方持っているからこそ見える景色。
少しだけ、著者のパリでの講話の中から引用させていただきます。
「西洋と非西洋のあいだにある非対称関係は
これからもずっと存在し続ける。
それはあたりまえです。
でも、今、その非対称関係に、それと同じくらい根本的な、
もう一つ新たな非対称関係が重なるようになったのです。
英語の世界と非・英語の世界とのあいだにある非対称関係です。
(中略)
「・・・一度この非対象関係を意識してしまえば、我々は、
「言葉」にかんして、常に思考するのを強いられる運命にある
ということにほかなりません。
そして、「言葉」にかんして、常に思考するのを強いられる者のみが、
<真実>がひとつではないということ、
すなわち、この世には英語でもって理解できる<真実>、
英語で構築された<真実>のほかにも、<真実>というものがありうること
--- それを知るのを、常に強いられるのです。」
※ 『日本語が亡びるとき --- 英語の世紀の中で』 水村美苗・著
2008年10月初版第一刷 筑摩書房 1,800円+税
ISBN: 978-4-480-81496-8
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