随分前から公開を心待ちにしていました。
才能があるのに‘当局’から睨まれ閑職に追いやられたロシアの(元)音楽家たちが
とんでもない逆襲に出る --- オーケストラを結成し、パリ公演を実現させる --- という話。
偽のロシア・ボリショイ交響楽団が2001年に香港で公演した、という記事や
ブレジネフ時代にユダヤ系の芸術家を一掃する動きに反発し、それをかばった
劇場関係者が排斥された、という事実が、この作品の下地になっていて、
映画の筋書きが全部「実話に基づいて製作された」とは言えないにしても、
実際のロシアの事情や歴史、かの地の人々の実情を、かなり真実味をもって
伝える内容になっているのでは、と思います。
124分のうち、ざっと計算して、冒頭から全体の7/8は、
「重苦しくてクドイかな。 私のツボとは違ったかな」という印象が続いたのですが、
それが『ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35』(チャイコフスキー)の演奏シーンにより
最後に心が開放されるその瞬間のために、ぎりぎりまでそう仕向けられたもの
だったとしたら、まあ許せるかなぁ・・・と。(笑)
「やっぱり、神さまっているんだな」と芸術を通して感じることができる瞬間に
立ち会える演奏家や観客・聴衆は、やはり幸せですね。
精進してもしても、それを一回も感じることができなかった人たちも、
数多いのだろう、と、私は思うことがたびたびあります。
それほどに厳しく、また、それゆえに魅惑的な世界です。
音楽に関係したフランス映画では、『エトワール』(2002年)や
『コーラス』(2004年)も心に刻まれているのですが
日本では最近『のだめカンタービレ』も成功したことだし、
オーケストラを舞台にしたこの映画の上映はタイムリーでしょうね。
※ 映画 『オーケストラ!』 公式サイトはこちら↓↓↓から
(映画鑑賞を楽しみにしておられる方には、
事前の予告動画チェックはお薦めしません・・・)
http://orchestra.gaga.ne.jp/#/main
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