先日出かけた声楽のコンサートに、ご夫妻で登場した歌い手。
妻がソプラノ、夫がテノールです。
ソプラノが、安定はしているものの、最高音を無理矢理に出している、
という印象が拭えなかったのに対して、テノールは、まさに今
体力も声も表現も上り調子で、がんがん機嫌良く‘飛ばして’いました。
幼少時から厳しいレッスンを重ねるなどという、特殊な環境に置かれ、
交友関係も限られてしまう場合も多いアートの世界では、
同業のアーティスト同士のカップルも多いのですが、私が垣間見る限り、
「孤として芸道を進む」その道筋において、それぞれの抱える事情やピークが、
傍に生活するパートナーとまったく同じになることはありえないので、
「励まし支え合う」ことのメリットよりも、「孤と孤のぶつかり合い」がデメリットになる
ことのほうが多いような気がしてしまいます。
ジャンルやレベルまで酷似している場合には、ことのほか難しいようです。
アーティストの私生活が、一般人から「痛々しい」と受け取られる例は、
これに限らないでしょうし、必ずしも芸道や作品にとって哀しいことだけではない、
とは理解しているつもりですが。
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