ルドルフ・ヌレエフ(Noureev /
Rudolf Khametovich Nureyev /
1938-1993)。 没後未だ10年経っていないなんて!
「組んで踊っている最中に目が合った途端、頭が真っ白になった」と
プリマ級のダンサーが言うくらいですからね、やはり‘何か’を
持っていた人だったのでしょうかね。 いるんですね、こんな人。
ヌレエフが晩年に差しかかった頃からしか、生の舞台を見ていないし、
エピソードやスキャンダルは豊富でも、何がどこまで本当なのかも
まだまだわからない状態です。
その生い立ちや家庭環境、全盛期のエピソードを
一部でも知ることができるのは、やはりうれしいことでした。
同性愛を隠すこともなく、エイズで命を失うまでが、比較的淡々と
記録されており、未だ記憶に新しい周辺のアーティストや
劇場関係者たちのエピソードも、平行して紹介されています。
舞台上では優美な芸術家、降りた途端に「野良犬のように」
野蛮な一面を表にさらしても、一向に気にしていない様子だった、
「友達なんていない」と言っていた、などと。
公演できっちり稼いで亡命から晩年までお金に困ることが無かった、
というのも、スター・ダンサーと呼ばれた人たちの中では珍しい例ですね。
まずは、とっかかりのための記録としての一冊、ということかな。
初めて家族写真を見て、お母さんによく似ていたんだな、と思いました。
※ 『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』
B. メヤ-スタブレ・著 新倉真由美・訳
文園社 2010年9月初版 1,400円+税
ISBN978-4-89336-245-2
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