テキサス州ダラス生まれの
クロンビーは、イギリス在住。
ここでご紹介する「警視」シリーズも、
舞台はイギリスです。
原題 : "Water Like a Stone"
推理小説と言えば、随分骨太、あるいは硬質な作品を
噛み砕きながら読み進む醍醐味を愛する、という人も多いのでしょうが
このシリーズは、心の微妙な動きを丁寧に拾う細やかさが
常に通奏低音として流れているため、事件そのものが残虐なものでも
後味が比較的フワッと穏やかなものになるのも、気にいっている理由。
シリーズ11作目(の邦訳版)が、2010年10月に刊行されました。
クリスマス・シーズンに起こった事件を扱った内容になっています。
警察組織で頑張って働きながら、恋愛も子育ても自分の趣味の時間も、
と苦労している女性ジェマとそのパートナー、ダンカン。
警察官という職業柄もありますが、遭遇する対象者の要望、体格、しぐさ、
言葉の選び方や操り方(微妙なアクセントまで)、(前述しましたが)
微妙な心の状態を、ある時は直感的に、またある時は非常に注意深く
観察し、得た情報を文章におこして読ませてくれるのが興味深いところ。
複雑な人間関係や家族との葛藤も丁寧に追っていただきたいので
ぜひシリーズ1作目からチェックしてください。
なお、どの作品も『警視の・・・』というタイトルがつけられていますが
これは邦訳版の都合みたいですね。
※ 『警視の覚悟』
デボラ・クロンビー・著 西田佳子・訳 講談社文庫
2010年10月初版 1,140円(税込)
ISBN-10: 4062767848
ISBN-13: 978-4062767842
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