4月3日(日)、新聞の書評で誉めてあったので、
どうしても気になって入手してみました。
小さな町の古びた洋裁店。
祖母から受け継いだこの店と足踏みミシンで
お直しとオーダーメードにこつこつ打ち込む主人公。
彼女がデザインし、生み出す服は、実際に会ったその人その人に
合わせて、そのたくさんのコンプレックスや思い出や価値観までも
全部愛してしまおう、という優しい優しい服。 死ぬまで大切にしたい服です。
私もこんな人に自分の服を縫ってもらいたい!(と、読んだ人は皆思うはず。)
大量生産、大量消費とは、まったく別の世界なのですが、
きちんとその良さを理解してくれる人たちが周辺に大勢いて、
仕事としてもきちんと成立していて、読んでいてホッとします。
「自分の美しさを自覚してる人には 私の服は必要ないわ」
「着る人の顔が見えない洋服なんて作れないわ」
(良く言えば)余白も多い単純な線が生かされた作風で、
その分何度も読み返すことができるかもしれませんね。
描かれている服自体も、少しレトロな雰囲気が残っていて
非常に私好みでした。
私の友人のおしゃれさんたちにも、必ず読んでもらいたいなぁ、
と思いました。 みなさん、必ず、ですよーっ。
※ 『繕い裁つ人 ①』 池辺 葵・作
講談社 2011年3月初版 590円+税
ISBN: 978-4-06-376022-4
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