著者は1947年生まれ。
退職後は私塾を開き、
講演活動などをしておられるとか。
一般の日本人には訪問が難しかった国々の当時の様子や
有名人・要人たちとの接触などを、日本の成長期に
国策企業の社員として体験した著者がそのまま
ストレートに(時には無骨に)伝えようとしています。
乗務管理職がつけた勤務成績が、所属している組合や派閥によって
最終的に書き換えられていたり、自社のお偉方が搭乗する際には
かばんのお預かりから始まって特別待遇がまかり通っていたり、と
著者が既に退職し、JALが事実上の破綻をきたして再生の努力を
している最中でなかったら、書けなかったと思われるエピソードも。
ただし、いわゆる暴露本とは一線を画しています。
客が乗務員をまるで召使のように扱う、という苦い経験を
何度もくぐり抜けてきた、と書かれている一方で、社内で
まかり通るヒエラルキーが長い間野放しになっていたという
現実もちらちらと書き添えられており、JALの再生への道が
いかに難しいものであるかを思い知らされます。
この本は、空港の書店では販売されているのでしょうか。
JAL機内誌の出版案内では紹介されているのでしょうか。
※ 『熱血パーサー乗務録 地上1万メートルの危機管理』
田中元一・著 西日本新聞社
2011年5月15日初版 1,429円+税
ISBN978-4-8167-0831-2