9月に初めて聴いた辻井伸行さんのピアノ(生演奏)。
今年は、3月から半年近く、劇場やコンサートホールに足を運ぶ気力が
極端に失せてしまっていました。
そこからの‘回復’のきっかけの一つが、彼の優しいピアノの音色でした。
アップしたブログ記事に、彼の熱心なファンからの反応があったことも
勉強になり、この年末には、ダメ押しのように、国内ツアーの演奏を再び
聴く機会に恵まれ、今年の私のクラシック音楽鑑賞のハイライトは、もう
辻井さんをおいて他に無い、ということになりました。
彼の今年最後のコンサート、桟敷でしたが、鍵盤がすべて見える位置の
チケットが、奇跡的に入手できました。 もう、耳だけ正月が先に来た感じ。
私が聴いた日は、『きらきら星変奏曲』『ピアノ・ソナタ(トルコ行進曲付き)』
(モーツアルト)、『ピアノ・ソナタ(テンペスト)』『同(ワルトシュタイン)』
(べートーベン)、と、やや‘お堅い’プログラムの後、アンコールにショパンと
リストで華を添え、その後に、『金髪のジェニー』(フォスター)へのオマージュと
『それでも、生きていく』という自作・自演曲が優しく会場を包んでお開きに。
若い音楽家やダンサー、舞台人を、長期間にわたってチェックし続ける、
ということを、もう長い間やっていませんでしたが、彼のことは例外に
なるかもしれません。 まだまだ脱皮の最中なのが楽しみを増幅させます。
(熱狂はしません。 ただ、コンスタントにチェックしたいと思っています。)
私に彼がおもしろいなあと思わせてくれる理由の一つは、現在は
器楽演奏者といえども、自他共に「フォトジェニックであるかどうか」に
価値の判断基準を置く傾向が強く、音以外のところでの
派手なパフォーマンスが衆目を集めることも多いなか、辻井さんには、
出発点からしてそういう発想がまったく無いということです。
ある意味、清々しさを感じます。
※ 本ツアーは、年明けは1月18日(札幌)からまた動き出し、
岡山、名古屋、広島、東京、大阪と回って、3月26日の浜松で終了します。
※ 今年11月10日にカーネギーホールでデビューした際のライヴ録音CDが
本日(12月28日)発売されました。 『テンペスト』『展覧会の絵』などを収録。
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