舘野 泉 (たての・いずみ)さん。 1936年東京生。 フィンランド在住。
2002年、脳出血に見舞われた後、「左手だけで演奏するプロの
ピアニスト」として復帰、音楽界以外でも話題を呼びました。
名前だけ聞き及んでいる人の中には、今でも女性だと
勘違いしている方もあります(が、男性です)。
生の演奏会に初めてご縁がありました。
想像していたよりもずっと骨太の音の構築・・・。
「そうだ。自分には音楽をやり続けることしかない、それだけだ。
腕が1本しか動かなくても、2本とも動いても、たとえ3本あったとしても、
やりたいことは変わらないじゃないか、と、ある時、別のスイッチが入ったのよ」
・・・こんなことを、さらりと。
もともと、ラヴェル他が書いた左手だけのための作品は存在しましたが、
上演される機会は限られていました。
舘野さんのプロ復帰後に、既存の曲も俄然存在意義を見直された形になり、
他にも現存の作曲家たちが、委嘱作品として、あるいは、
彼に捧げる形で、新作を発表し、プログラムはより豊富になっています。
スクリャービン(1872年モスクワ生)「左手のための2つの小品
前奏曲と夜想曲 Op.9」より『夜想曲』と、
今年6月に新鋭の光永浩一郎(1966年、熊本生)が
舘野さんに捧げたばかりの『サムライ』は、今回初めて聴きました。
どちらも秋の夜長に似合う作品です。
この他、以前にも本欄でご紹介した作曲家、
吉松隆も、舘野さんとタッグを組んでいますよね。
最近では、NHK大河ドラマ 『平清盛』の音楽も
このコンビ。 サントラも良いんでしょうが、
こっちのアルバム、いろんな意味でスゴイよっ!
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