以前にも書いたかと思いますが、この人の作品を読むと
「気持ちが悪くなるほど作文が巧いな」と思わせられる
ことがあります。 それでもチェック。(笑)
文庫を手元に置き、寝る前に一項目だけちびっと読む、
さらに短い言い回しだけ何度も読み直す、という具合。
東海林さだお氏との巻末対談の中で、「読者が「おいしそう」「食べてみたい」と
ポジティブな感想をもつ(つまり、反感を抱くのとは逆の反応をする)ような
文章を書かなければ」という意味のことをおっしゃっています。
いろいろな店が紹介されていますが、個人的には
知っている店、行ったことがある店の項よりは、
消滅してしまった店の項を、より熱心に辿ることが多いのです。
幻と化してしまった店や味、しかも、自分が知らないものを
活字でどのように表現しているのか、それをどう感じるのか
確認する、という作業に、非常に興味があるからだと思います。
なお、現存している店のデータ(住所ほか)は巻末に掲載されています。
※ 『焼き餃子と名画座 わたしの東京 味歩き』
平松洋子・著 新潮文庫 2012年10月初版
ISBN978-4-10-131656-7
(2009年10月、(株)アスペクトから刊行された作品の文庫化)
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