カミッラ・レックバリ(1974年スウェーデン生)の
推理シリーズ。 古い因習や家族のタブー、
社会的弱者の問題が常に織り込まれ、
若いカップルが主人公であるにもかかわらず、
軽妙さや「読んだ末に光明が訪れる」というスッキリ感は
あまりありません。 邦題もどれも怖いし・・・。
それでもチェックしている理由は、まず北欧・スウェーデンの現代社会
(の少なくとも一面)を垣間見ることができるから。 次に、各登場人物の
造形が明確なので、「重苦しい内容であっても大衆的でわかりやすい」から。
ただ、「こんなに登場人物をたくさん設定しなくてもいいのでは」とも
思う時があります。‘枝葉’も多くて、ときどき人物リストを確認しなくちゃ
いけなくなるから。 「推理小説ではなく、小説を目指しているのかな」という
感想を持つ読者も多いようです。
私はね、刑事・パトリックが「パンにキャビア(辛くないたらこ)ペーストを塗って、
それをココアに浸して食べる」というのには、何度読んでも慣れません。
スウェーデンのキャビアペーストは好きですが、これだけはちょっと。(笑)
第1巻『氷姫』(2003年、邦訳版2009年)は、日本でもかなり話題に上りましたよね。
その後、原語版は、第7巻まで、邦訳版は、第4巻『死を啼く鳥』まで出ていて、
いよいよ今月19日に第5巻『踊る骸(むくろ)』が。(ほら、また題名が怖い・・・)
日本ではどれだけのファンが、レックバリと最後まで並走できるでしょうか・・・。
『ミレニアム』のように、続編が断たれた作品との単純比較は難しいのですが、
シリーズ化した作品に接すると、その結び方がどうしても気になるものです。
※ 『死を哭く鳥』 カミッラ・レックバリ・著 富山クラーソン陽子・訳
集英社文庫 2012年4月初版 1,000円(税込)
ISBN 978-4-08-760643-0
(注: 『死を啼く鳥』(ハルキ文庫)は、英国の作家によるまったくの別作品。)
※ 『踊る骸』 4月19日発売予定
ISBN 978-4-08-760664-5
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