以前にご紹介した大江健三郎さんと小澤征爾さんの対談
(『同じ年に生まれて』中公文庫)の中で、大江さんが発した言葉。
「音楽の演奏ということは、もう一度生き直すといいますかね、
武満徹という人をもう一度生き直すことじゃないか。
武満さんの人生のある局面を演奏家と聴衆の僕らが
一緒に生き直すということじゃないか、と思うんです」
武満さんは大江さんの大切な友人だったので、
ここでたまたま武満さんの名前が出ていますが、
亡き作曲家が誰であっても、さらに他のアートにも
多々あてはまる言及なのではないかと思います。
どちらかと言えば、書籍や絵画のように最終の形が残るものよりも、
音楽やダンスのように作品がその場で瞬時に消えるもののほうに
他人が「一緒に生き直す」行為が、より生きてくることもあるでしょうか。
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