英国ロイヤル・バレエ団来日公演のうち、公演初日、
7月5日の『不思議の国のアリス』(本作の海外初演)
を観ました。
(写真は同団の公認カメラマンによるもの)
今春、3月に英国から世界中継された時と同様に、主演はサラ・ラム
(Sarah Lamb)。 ボストンで頭角をあらわし、英国へ移りました。
久しぶりに観劇エクスパートの知人たちと鑑賞をご一緒できて、
あれこれ感想もうかがうことができたのが、私にとっては
何より良い刺激になりました。
その感想の中に、「サラ・ラムって、プロポーションや容姿には
そんなに恵まれていないよね」というものも含まれていました。
そのことを、ここ10日ほど、ずっと考え続けていました。
世界屈指と言われる名門バレエ団も、最近では、自国・地元の
バレエ学校で純粋培養した自国のダンサーだけを採用することはなくなり、
ある意味世界に門戸を開いているぶん、体型や容姿、身体機能の条件は
かなりバラエティーに富むものになっています。
英国ロイヤル「らしさ」って何?それはこれからどうなっていくのでしょう。
一糸乱れぬマスゲームのような群舞、例えば、『白鳥の湖』や『バヤデール』で
48名が、「この世のものとは思えないほどの」まとまり方を見せつけるような
構成、あるいは、そのような類の群舞を必要とする新作は、予算の関係からも
たいそう少なくなっています。
サラ・ラムは、たしかに浮世離れした容姿を持つわけではないかもしれません。
が、役作りに欠かせない深い洞察と知性、それらを与えられたキャラクターに
包み込んで、しっかりと観客へ伝えようとする意思の強さを持ち合わせており、
ていねいに伸びやかにアンドゥオールを心がけて踊る姿に好感が持てました。
容姿、特に体型にハンディーのある日本人ダンサーを数多く観ているだけに、
彼女の活躍の中からヒントになるものを見つけ、ある種の希望めいたものを
感じている日本人の‘現役’や‘卵’あるいは指導者も多いのでは、と思ったことでした。
「頭の分量が大きくて、たいしたことないよね」だけで終わっては、もったいない!
来日公演(今回は東京のみ)は、昨(14)日でお終い。
有名なカンパニーが来日する際には、東京以外の都市でも(かつてのように)
公演が実現すると良いな、と思います。
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