落語『目黒のさんま』にひっかけて書かれた
‘お江戸もの小説’の中で、「かどめし」というものを知りました。
さんまは焼くと青い炎が上がり、家中に煙や匂いがついてしまうので
家の外(門のところ)で焼いたのだそうです。
このさんまの身をほぐしてご飯に混ぜたものが「門飯」。
この小説の中に出てくる飯屋の作る「門飯」は少し上等。
普通の米ともち米と半々にして、生姜汁、醤油、酒、みりん、
地厚の昆布を入れて炊きあげたものに、塩焼きしたさんまの身を
ほぐし入れ、さっくりと混ぜ合わせてあります。
分量も何も書いていなくても、味をすんなり想像していただけると思います。
一尾を一人に割り当てられなかった当時の庶民の台所事情が生んだ
素晴らしい知恵でもありますね。
※ 『時そば』 (料理人季蔵シリーズ6巻。冒頭『目黒のさんま』の項)
和田はつ子・著 ハルキ文庫
2009年12月初版 552円+税
ISBN978-4-7584-3448-5
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