グレイのショート丈トレンチを着て歩いていた女性。
70歳くらいでしょうか。
イギリスの老舗が作るトレンチは、決して流行の最先端を行く形でも
ないのに、とにかく糸が素晴らしく、仕立ても見るからに上等でした。
もしかすると、このようなシルク地のコートは、素材として贅沢過ぎて
現在はあまり新しいものが出ていないのかもしれないなぁ、と
思ったくらいです。 真冬には、重ね着に工夫をしないと寒いでしょうし。
最近は、ダウン系のコートをはおっている年配の女性がとても多いのですが、
その中で「辺りをはらうように素敵だ」という例は本当に稀だと思います。
「寒冷地で真に機能を追及した結果身につけるダウン」を美しいな、と
思うことはあっても、街中で「‘ちょっと見’はあったかそうな綿入れ」は
実は着こなすのがかえって難しいアイテムなのではないでしょうか。
また、何年も古びないモデルはほとんど見たことがないと思います。
さて。 お見かけしたこの女性。 コートの他は・・・
長めのスカートは、ライト・グレイの薄手ウール地で、
10cm巾位にプリーツ加工が施してありました。
動くと、コートの裾からスカートがひらひらと動くのが見えて効果的。
足元は、ほとんど黒に近いグレーのプレーンなタイツに
黒のエナメルのワンストラップ・シューズ。
遠目からは、コートのシルクと靴のエナメルが、それぞれに
光っている様子が、なかなか楽しいなぁ、と思いました。
白髪混じりのセミ・ロングの髪を、ゆるめに結い上げて
和服用でしょうか、目立たない櫛のような飾りを一つだけ後ろに
留めつけておられました。 そう、このまま和服にも合うような髪形です。
古風で上品な顔立ちは横顔しか見えませんでしたが、素敵な方でした。
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