この人の一生の著作の中で『深夜特急』は
やはり最も大きく重く輝かしいものであり続ける
のでしょう。あの年齢で、あの旅に出たのが、
この人の一生のキャリアを決定づけた、とも
言えると思います。
のめり込んで読むことは私はありませんでしたし、
これからも無いのでは、と思っていますが、旅について
思索を巡らそうとする時には、避けて通れない人であり、
著作であることは間違いないわけで。
その『深夜特急』のエピソードや‘振り返り作業’をまとめた本を
今頃になってぱらぱらと読んでいます。
振り返り作業、と言えば、沢木さんも、その昔の旅、結果的に
一世一代のものとなった旅を、歳を重ねた現時点から
振り返って総括しようしておられるのかなあ、とも思います。
共感したエピソードは次のとおり。
タイ・バンコクで知り合った日本の駐在員が発した言葉です。
「外国というのはわからないですね」
そして、さらにこう続けた。
「ほんとうにわかっているのは、
わからないということだけかもしれないな。
(途中省略)
どんなに長くその国にいても、自分にはよくわからないと
思っている人の方が、結局は誤らない」
※ 『旅する力 深夜特急ノート』 沢木耕太郎・著
新潮社 ハードカバー初版は2008年11月
文庫本初版は2011年4月 637円(税込)
ISBN-10: 410123518X
ISBN-13: 978-4101235189
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