ベージュとグレーとカーキを突き混ぜたような
枯れた色の長いダウンコートを着た女性が
人ごみで私を追い越してゆきました。
皮のハンドバッグの他にデパートの紙袋が二つ。
そして肩には大きなトートを担いでおられました。
トートは、目の覚めるようなブルーの地に、人間の大人の頭より
もっと大きな、白いマーガレット風の花のクローズアップが
ボンとプリントしてある、というもので、イラストというよりは
もしかすると写真の転写だったかもしれません。 リアルな花。
その持ち主が私からどんどん遠ざかっても、ずっとその花が
彼女の肩の後ろでチラチラ揺れているのがわかるほど
単純な図柄なのに強いインパクトがあったのでした。
日本では、細部に凝るおしゃれ、街や人ごみの中に溶け込む
おしゃれを得意にする人が多いように思いますが、時には、
そう、例えば冬枯れの街などには、色鮮やかなアクセントも
楽しいものだなあ、と改めて教えられた気がしました。
必ずしも暖色系でなくても、おもしろい使い方はできますね。
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